ある日、私は一人の子供と知り合いになりました。
その子はとても活発で明るく元気な子で、そしてとてもいい子でした。
ある時、その子が私に勉強を教えて欲しいと言ってきたので、私はその子に勉強を教えてあげました。私の拙い説明にもかかわらず、その子はとても熱心に聞いてくれ、そして大いに喜んでくれました。そんな姿を見て私もとても嬉しい気持ちになりました。
ところが、数日後にその子はまた同じ質問をしてきたのです。
きっと私の説明が悪かったのだろうと思い、私はまた同じ説明をすると、同じように熱心に聞いてくれ、そして同じように喜んでくれました。
しかしそのまた数日後、その子はまた同じ質問をしてきたのです。
これは一体どういうことなのだろうか。私の説明はそれ程までに悪かったのだろうか。その子の記憶に私の言葉は届かないのだろうか。
繰り返される質問の連鎖に私は自分の無力さを痛感するのですが、いつでも100%の熱心さと笑顔で説明を聞いてくれるその子を見ていると、挫けそうになる気持ちを奮い立たせることが出来るのです。
同じ説明をしているこの瞬間、記憶に留まっていないとしても“何か”を残すことが出来るかもしれない。そして、その“何か”が蓄積すれば、いずれその子の記憶に届くのではないだろうか。
そんな希望を胸に秘めながら、再び私は同じ説明を繰り返すのです・・・。
トモコさんにパソコンの操作を教えている時の私の心情を物語風に表現するとこんな感じです。
あ、それ以前に説明しましたよね?