以前、こんな話を聞いたことがあります。
「武術を極めた達人は、意識を失っても無意識に戦い続ける」と。
例えば、柔道の木村政彦さんは他道場へ出稽古に行った際、1人5分で6時間連続で乱取りをしたそうです。
終盤に意識を失いながらも何人か乱取りをこなして最後は倒れてしまい、それでも体は乱取りの動きをしていたそうな。
そして今朝、こんな話を聞きました。
仕事で全力を出し尽くしたトモコさんは、その日、家事もままならない程にクタクタな状態で帰宅したそうです。
「あぁ、お風呂掃除をしなければ・・・、お湯を張らないと・・・・。」
そんな気持ちと相反し、疲れ果てた体は中々に言うことを聞いてはくれない。
そこで、家事を他者へ押し付けるべく、”黒ひげ危機一髪”で負けた者がお風呂掃除をしよう、と息子・娘に提案をしたそうです。
数回に及ぶ激闘の末に見事勝利したトモコさんは、敗者である息子に風呂掃除を命じました。
しぶしぶお風呂掃除へと向かう息子の背中を見送り、家事からの開放感に浸ろうとしていたのも束の間、お風呂場からトモコさんを大声で呼ぶ息子の声が聞こえてきました。
「何事か!」と疲れた体を引きずるようにお風呂場へ向かったトモコさんが目にしたものは、
綺麗に掃除され、お湯の張られた浴槽を前に立ち尽くす息子の姿でした。
「・・・これ、誰がやったん?」
そんな息子の問いかけに、ハッとするトモコさん。
「・・・あ・・・そういえば、帰ってすぐに風呂掃除してお湯張ったような気がする・・・」
その後、さっきの勝負は一体何だったんだ、と息子・娘にブーイングされたそうです。
家事も極めれば無意識にこなすことが出来るようになるのでしょうか。